
前回は、夏の夜空に咲く花火をどう撮ったか、その裏側(F6.3・1.6秒・ISO200、三脚とリモコンレリーズ)をご紹介しました。今回は、撮影後の約90枚をどう1枚に仕上げていったのか、編集・合成編です。
👉 【静景の裏】夏の夜空に咲く花火を撮る|三脚とリモコンレリーズ、F6.3・1.6秒の記録
花火写真の整理:不要カットを削除
リモコンレリーズでタイミングを狙って撮っていても、花火が上がっていない空や、開ききっていない途中、終わった後の煙だけのカットは残ります。まずはここを徹底的に削除して、候補探しに集中できる状態を作ります。ピントを外したカットも、どんなにきれいな花火でもこの段階で外します。
花火写真を合成用に選別する基準
残った写真から、合成に使えるカットを選びます。基準は次の4つです。
- 形が綺麗:花火が丸く広がっていること
- 明るすぎない:白飛びせず、光の階調が残っていること
- ピントが合っている:光跡がシャープに写っていること
- 他と重なっていない:別の花火や煙が邪魔していないこと
この条件で選ぶと、最初に残ったのはおよそ5枚でした。
選別のとき、私のやり方はこうです。まず「これは絶対に残す」という1枚を決めて、それを頭に置いたまま、合成後の姿をイメージしながら不要な写真を引き算していきます。花火は同じ場所に繰り返し上がるので、同じ箇所に上がった花火を重ねると、画面がただまぶしいだけになってしまうんです。ちょうどよい位置に、ちょうどよい形で上がった花火だけを重ねる。枚数は5〜6枚あれば十分で、増やしすぎると逆に白っぽくなります。
それから、この日は「同じ色味の花火だけで統一したら面白いんじゃないか」と、色で揃える組み合わせもいろいろ試しました。正解がない作業ですが、この試行錯誤が合成のいちばん楽しいところだと思います。
DxO PureRAWで現像:TIFF出力の理由
選んだ写真は、まずDxO PureRAWで現像します。ここでノイズ処理やシャープネスを整え、TIFF形式で書き出します。TIFFはJPEGよりビット深度が深く(16bitで書き出せる)、夜空の黒の中に残る繊細な階調が潰れにくいのが特徴です。KikuchiMagickでの合成でも、この階調があることで花火と夜空の境界が自然に仕上がります。
KikuchiMagickで合成:迫力と自然さの両立
DxOで下処理した数枚をKikuchiMagickに読み込み、夜空を自然に馴染ませつつ花火の光跡を重ねます。KikuchiMagickは「比較明合成」を使います。これは、重ねる写真の同じ位置で「より明るいほう」を残す合成方式です。花火の光跡は夜空より明るいので自然と残り、何もない夜空の暗い部分はベースの写真が活きます。そのため、花火だけが浮かび上がったような自然な合成になります。撮影時に露出をマニュアルで固定していたので(F6.3・1.6秒・ISO200で一晩通しました)、カットごとの明るさの差に悩まされなかったのも、合成が破綻しなかった理由だと思います。
Lightroom Classicで最終仕上げ
KikuchiMagickで合成した後は、Lightroom Classicで最終調整を行います。明るさや彩度を整え、煙の出方や夜空の黒の深さを微調整。「合成しすぎない自然さ」を意識しつつ、見たときに「あの夜空を思い出せる」仕上がりに仕上げます。
合成 → 選び直し → 再合成を、4〜5回繰り返しました
一度合成してみても、思ったようには仕上がりません。実際にこの一枚も、4〜5回はやり直しています。合成した結果を見て「ここに花火が多すぎるな」「この空白にもう1発入れたいな」とバランスの不満が見えてくるので、元の約90枚に戻って候補を選び直し、また合成する。「合成 → 結果を見てバランス確認 → 選び直し → 再合成」の繰り返しが、完成度を高めるいちばんの近道でした。
まとめ
花火写真は、撮影も編集も根気が要ります。不要カットを削除し、「絶対に残す1枚」を軸に候補を引き算して、DxO PureRAWで現像 → KikuchiMagickで比較明合成 → Lightroom Classicで仕上げ。この流れを4〜5回繰り返して、ようやく完成にたどり着きました。今回の一枚も、そんな試行錯誤の積み重ねが生んでくれた成果です。
この記事を書いた人
Photo.SeTa|OM SYSTEM OM-1で、九州を中心に風景・花・夜景を撮影。フォトマスター検定2級。PIXTA・Adobe Stockにてストックフォト350点以上を公開・販売中。作例の撮影設定を掲載する場合は、RAWデータから確認した実際の値を使用しています。運営者情報
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