写真を続けていると、ときどき「少し違う撮り方をしてみたいな」と思うことがあります。風景写真はどうしても似た絵になりやすくて、その中で自分なりの特徴が少しでもあればいいな、と考えていました。そんなときに気になったのが、水中撮影でした。
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
「空いている場所」を探して、調べてみた
最初は「渓流の水中写真って、あまり人がやっていないんじゃないか」と思っていました。実際にストックフォトのサイトで調べてみると、これが思っていたのと少し違いました。「渓流 水中」で検索すると数千件がヒットします。決して空き地ではなかったんです。
ただ、中身をよく見ると発見がありました。その多くは、水の上から撮って川底が透けて見える写真で、実際に水面の下にカメラを沈めて撮った写真は、ぐっと少ないようでした。「川底が透けた風景」と「水の中から見上げた世界」は、似ているようで別物です。後者なら、まだ入り込む余地がありそうに見えました。
もっとも、これはあくまで撮る前の見立てです。実際に需要があるのか、自分がそのレベルの写真を撮れるのかは、やってみないと分かりません。「空いていそうだから、まず一度試してみる」——それくらいの気持ちでのスタートでした。
買う前に、まず借りる
水中撮影に使う定番は、防水コンパクトの OM SYSTEM Tough TG-7 です。ただ、新品で買うと5〜6万円ほど。撮れるかどうかも分からない機材に、いきなりその額を出すのは気が引けました。
そこで、カメラのレンタルサービス Rentio で TG-7 を借りることにしました。3泊4日で6,000円ほど。これなら「試してみて、続けるか決める」という使い方ができます。
水中撮影が自分に向いているのか、そもそも続けたいと思えるのか。それが分からないうちに数万円の機材を買うより、まず数千円で一度試す。合わなければ返せばいい。この「借りて確かめる」やり方は、新しいジャンルに手を出すときの、いちばん低リスクな入り方だと思っています。「まず試す」ならレンタル、「続けるつもり」なら購入と、目的で使い分けるのがよさそうです。
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
撮影地は、大分・藤河内渓谷
場所は大分県佐伯市の 藤河内渓谷(ふじがわちけいこく)。祖母・傾・大崩ユネスコエコパークにある渓谷で、花崗岩の一枚岩を川が刻んだ独特の地形と、透き通った水で知られています。夏にはキャニオニングも行われるほど、水がきれいな場所です。
透明度の高い水があって、浅くて入りやすい。水中撮影を初めて試すなら、条件は良さそうでした。
撮る前から分かっていた、ひとつの不安
ただ、準備の段階で、ひとつ大きな不安がありました。「水の中は、きれいだけど主役がいない」という問題です。
「川の中がきれい」——それはそのとおりなんです。でも、写真として見たとき、視線を集める主役がいない。ただ「きれいな水」だけでは、作品としても、販売する素材としても弱いのではないか。撮る前からそこが引っかかっていました。
主役になりそうなものを持ち込んで、水中でそれを撮る、という案も考えました。でも、しっくりくるアイデアは浮かばないまま、結局は当日を迎えることになります。「まずは撮ってみて、結果を見て判断しよう」。半分は割り切り、半分は宿題を抱えたままのスタートでした。
後編へ
こうして、借りた TG-7 と、いつもの OM-1 を持って藤河内渓谷へ向かいました。頭の中では、透き通った水の中でシャッターを切る自分を、なんとなく涼しげに思い描いていました。
——結論から言うと、その想像は、わりとあっさり裏切られます。膝まで川に入って初めて分かった現場の大変さと、それでも撮れた一枚。後編では、実際に水に入って撮ったときのことを書きます。
この記事を書いた人
Photo.SeTa|OM SYSTEM OM-1で、九州を中心に風景・花・夜景を撮影。フォトマスター検定2級。PIXTA・Adobe Stockにてストックフォト350点以上を公開・販売中。作例の撮影設定を掲載する場合は、RAWデータから確認した実際の値を使用しています。運営者情報
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