静景日和|Photo.SeTaの撮影手帖

Photo.SeTaが綴る、静景写真のことと日常のこと。

菊池渓谷で新緑と苔を撮る|三脚なし・手持ち1秒の渓流撮影記

2026年4月下旬、熊本の菊池渓谷を歩いてきました。この日は曇り。渓谷の森はただでさえ暗いのに、雲がさらに光を柔らかくしていて、苔と新緑の質感を撮るには実はちょうどいい条件でした。遊歩道の途中では、苔をまとった石仏にも出会えます。

カメラバッグにはOM-1と、レンズを3本。ただ、結論から言うと渓流の写真は17mmの単焦点1本で撮りきることになりました。今回は、その撮影の記録です。

この日のメインカット

菊池渓谷の滝と苔むす岩、青い淵
滝と青い淵、苔むす岩の間を縫う流れ。
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
17mm|F8|1/2秒|ISO100

夕方17時すぎ。奥の滝と青い淵、手前の苔むした岩の間を縫う流れを、1枚の縦構図に収めました。1/2秒の露光で水は絹のように流れ、濡れた苔の質感はしっかり残っています。

三脚なしで1/2秒——OM-1の手ぶれ補正に賭けました

渓流の長秒露光といえば、教科書的には三脚とレリーズが必須です。でもこの日、三脚は使っていません。OM-1の手ぶれ補正が強力なので、なくても撮れると踏んだからです。

頼ったのはOM-1の強力な手ぶれ補正。とはいえ1/2秒や1秒をぶらさず止めるのは補正任せでは無理で、息を止めて、脇を締めて、岩のように構える——これを1カットごとに繰り返しました。正直、これがこの日いちばん大変だったことです。シャッターを切るたびに呼吸を整えるので、撮影というより静かな筋トレでした。

菊池渓谷の岩盤を滑るように流れる渓流
岩盤の上を滑るように広がる流れ。
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
17mm|F9|1/8秒|ISO100

岩盤の上を滑るように広がる流れ。ここはまだ1/8秒なので、手持ちでも比較的余裕がありました。水の速さと岩の面がつくる模様を、換算34mmの画角でそのまま受け止めています。

曇りの日の露出——絞りで水の「線」を作る

水の流れを線として写すには、シャッタースピードを遅くする必要があります。NDフィルターを使う方法もありますが、この日は絞りで露光時間を作りました。実際の3枚のデータを並べるとこうなります。

  • 岩盤の流れ:F9・1/8秒(16:03)
  • 迫る渓流:F22・1秒(16:35・日陰)
  • 滝と淵:F8・1/2秒(17:11・夕方の暗さ)

いちばん絞ったのはF22。日陰だったこともあって、ISO100と組み合わせれば1秒の露光が作れました。ただし曇りの日は空も水面も白く写りやすいので、水の白が飛ばないギリギリを探りながらの露出決めになります。線は長く、でも白飛びはさせない。このせめぎ合いが曇りの渓流撮影の勘所だと思います。

菊池渓谷、手前に迫る渓流の流れ
手前に迫る流れを、1秒の露光で線に。
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
17mm|F22|1秒|ISO100

手前に迫ってくる流れを、1秒の露光で線にした1枚。岩の間を縫う水の勢いが、線になることでかえって強調されます。手持ち1秒はさすがに緊張しましたが、何度か呼吸を整えて撮った中の1枚がぶれずに残ってくれました。

レンズは17mm単焦点1本+CPL

渓流の3枚は、すべてM.ZUIKO 17mm F1.8(換算34mm)で撮っています。いつもこのレンズにはCPL(偏光フィルター)を付けているので、この日も付けていたはずです。CPLは濡れた葉や岩の反射を抑えて、緑を濃く見せてくれます。

バッグには40-150mm F2.8と60mmマクロも入れていて、道中で野鳥や足元の花はそちらで撮りました。ただ、マイクロフォーサーズとはいえ40-150mmはそれなりに重く、歩き回って構え続けた右手は帰る頃にはすっかりくたびれていました。渓流だけが目的なら、17mm1本の身軽さが正解だったと思います。

現像で意識したこと

現像ではまずホワイトバランスを決めて、緑のトーンが不自然にならないようにします。コントラストはやや抑えめにして、シャドウを持ち上げて苔のディテールを残す方向。テクスチャやクラリティは控えめにかけて、湿った空気感を消さないようにしました。

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機材データ(この日の実データ)

  • カメラ:OM SYSTEM OM-1(手持ち・三脚不使用)
  • レンズ:M.ZUIKO 17mm F1.8(渓流3枚すべて)+CPL
  • 同行レンズ:40-150mm F2.8/60mm F2.8 Macro(野鳥・花用)
  • 設定:ISO100固定・F8〜F22・1/8秒〜1秒(水の線の長さで使い分け)

撮影を終えて

苔と新緑は、光や湿度のわずかな変化で表情が変わります。今回は曇りの柔らかい光に助けられて、質感重視の3枚になりました。次に行くときは、この場所の迫力を残しつつ、もっと空気の「雰囲気」まで写るような1枚を狙ってみたいと思っています。それには、また何度か通うことになりそうです。

この記事を書いた人

Photo.SeTa|OM SYSTEM OM-1で、九州を中心に風景・花・夜景を撮影。フォトマスター検定2級。PIXTA・Adobe Stockにてストックフォト350点以上を公開・販売中。記事の撮影データは、RAWデータから確認した実際の設定を掲載しています。運営者情報


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