すぐ答えが分かる設定早見表
渓谷・水景・苔
ISO 100固定/絞り F8〜F22/シャッター速度 1/8秒〜1秒/露出補正 ±0/WB 曇りプリセット+200〜800K
近景・花マクロ
ISO 100〜640/絞り F2.8〜F5.6/シャッター速度 被写体次第(作例は1/320秒)/露出補正 ヒストグラムで判断/WB 曇りプリセット基準
いずれも空を画面に入れない構図が前提。空を入れる場合は白飛びしやすいので露出をハイライト基準にするか、前景が暗く沈みすぎないか別途確認してください。マイナス露出補正は万能ではなく、ヒストグラムと被写体条件で都度判断するのが基本です。
曇り撮影に悩む人へ(はじめに)
曇りの日に撮影すると空が白く飛び、全体のコントラストが低くなるため、思ったような写真にならないことが多いです。ただ、先に言っておくと、私の手元に残っている写真のいくつかは、曇りの日に撮ったものです。菊池渓谷の滝も、北野天満宮の梅も、曇りだからこそ撮れた質感でした。
この記事では設定・露出・ホワイトバランス・構図の4点に絞って、失敗を減らす方法を紹介します。作例の3枚は、すべて同じ曇りの日(2026年4月・熊本の菊池渓谷)に撮ったもので、実際の撮影データつきです。
作例ギャラリー(同じ曇りの日の3枚)
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
17mm|F8|1/2秒|ISO100
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
64mm|F9|1/5秒|ISO100
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
100mm|F2.8|1/320秒|ISO640
3枚目がいい例で、直射日光だと葉がテカって色がバラつくところ、曇りの光は葉の緑を均一に見せてくれます。「ふんわりした写真は晴れの日のもの」というイメージがあるかもしれませんが、実際は逆で、曇りのほうが作りやすいと感じています。
曇り撮影の概要と結論(まずは要点整理)
結論として、曇りの日は「空を主題にしない・露出を全体で考える・色温度を調整する・構図で余白を活かす」の4点が重要です。これらを意識すると白飛びや平坦な写真を避けられます。
具体的には露出管理とヒストグラムで白飛びを防ぎ、RAW現像でシャドウを引き出すのが基本的な流れです。ホワイトバランスは曇りプリセットを出発点にしつつ微調整してください。
露出とヒストグラムで失敗しない設定
曇天では空が明るく飛びやすいので、まずはヒストグラムを確認します。ピークが右端に寄っている場合は白飛びの可能性が高いです。一般的な目安は次のとおりです。
- 風景のスタート設定(目安):ISO 100〜200、絞りf/8〜f/11、シャッター速度は露出に合わせて調整
- 近景主体(目安):ISO 100〜400、絞りf/2.8〜f/5.6(背景の柔らかさを活かす)
- 白飛び対策:露出補正-0.3〜-1.0EVでハイライトを保護
私自身の菊池渓谷での実データは、ISO100固定・F8〜F22・1/8秒〜1秒でした。露出補正は±0のまま、絞りとシャッタースピードの組み合わせを変えて、「水の白が飛ばないギリギリ」を1枚ずつ探る撮り方です。曇りの日は光が安定しているので、一度決めた露出が長く使えるのも利点です。
ホワイトバランスと色の扱い(曇りならではの色作り)
曇りは青みが出やすいため、オートWBのままでは思った色にならないことがあります。まずはカメラの「曇り(Cloudy)」プリセットを基準にして微調整しましょう。現像では次のポイントを押さえると自然な色になります。
- 色温度を少し上げて暖かさを補う(+200〜+800Kが目安)
- 鮮やかさ(Vibrance)を控えめに上げてしっとり感を保持する
- ローカル補正で主題のコントラストを少し上げて主張を作る
緑が主役のときは、彩度を全体で上げるより、シャドウを持ち上げて苔や葉のディテールを残す方向が自然に仕上がります。
構図と被写体選び(空を入れない・近景を活かす)
曇りの日は空の情報量が少なく平坦になりやすいので、空を大きく入れる構図は避けるか工夫が必要です。実際、上の作例3枚もすべて空を画面に入れていません。渓谷・森・花のクローズアップのように、空を切り捨てられる被写体は、曇りの日の主戦場です。
- 近景を主題にして背景の曇り空を切り捨てる
- 反射や水面を利用して曇り空のトーンを画面に取り込む
- 望遠の開放ボケで、柔らかい光をそのまま柔らかい絵にする
フィルターの話——持っているけど、この日は使わなかった
長時間露光で雲や水を流す表現にはNDフィルターを使うのが定石です。私もNDは持っていますが、菊池渓谷では使わず、F22まで絞ってISO100と組み合わせ、1秒の露光を作りました。荷物と付け外しの手間を省けるので、曇りの暗さなら絞りだけで足りる場面は結構あります。
ふんわり系のソフトフィルターも持っていますが、作例のもみじはフィルターなしです。曇りの光と開放ボケだけでも、かなり柔らかい絵になります。フィルターは「もう一段幻想的にしたいとき」の追加手段と考えるとよいと思います。
現場でのチェックリスト(撮影前後の確認項目)
- RAWで撮影しているか(必須)
- ヒストグラムで白飛び・黒潰れの確認
- 露出を変えて数カット撮り、水や空の白の残り方を比較する
- ホワイトバランスを曇りプリセット→微調整する
曇り撮影でよくある注意点
曇りでは光が平坦なため被写体が浮かないことがよくあります。主題のコントラストを局所的に上げるか、色やテクスチャーで主張を作る必要があります。曇りの夕方はさらに暗くなるので、シャッタースピードの確保も課題になります。私は曇りの夕方の北野天満宮で、ISO100のまま1/30秒まで粘る撮り方をしました。雨上がりまで含めれば、坂元棚田の彼岸花と水滴のように、曇り〜雨上がりの流れでしか撮れない被写体もあります。
まとめ(曇りを味方にする撮り方)
曇りは扱いづらい反面、柔らかく安定した光が得られるため、「しっとりした表現」や「ふんわりした作風」と相性が良い天候です。空を主題にしない構図と露出管理、WBの調整で失敗は減らせます。
現場ではRAW撮影とヒストグラム確認を基本に、露出補正や局所補正で主題を際立たせてください。私の場合、渓谷の緑も、夕方の梅も、雨上がりの彼岸花も、「曇りだから撮れた」写真でした。曇天は撮り方次第で、むしろ味方になります。
この記事を書いた人
Photo.SeTa|OM SYSTEM OM-1で、九州を中心に風景・花・夜景を撮影。フォトマスター検定2級。PIXTA・Adobe Stockにてストックフォト350点以上を公開・販売中。作例の撮影設定を掲載する場合は、RAWデータから確認した実際の値を使用しています。運営者情報
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